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SS14回

こんにちは
桜も咲いて、すっかり春らしい気候になりましたねー
そんな春の陽気に浮かれてぼ~っとしていたら、いつの間にかこんなに日にちがたってしまいました(汗
今回も少々長めのSSになります、なので興味の無い方は読み飛ばしていただければ幸いです(笑)
それではどうぞ~
_____________________________________
「はぁ~……」
店内に長い溜め息が響き渡る
季節は徐々に春へと近づき段々と暖かくなってきたにも関わらず、溜め息の主……熊川留美の気持ちは晴れないようであった

「どうしたの留美ちゃん?何か悩み事かしら?」
どこか気の入ってない感じの留美を心配してか、店長は留美に近寄り優しく語りかけた
一方の留美は、仕事をしていたメイアの姿をボ~ッっとした感じで眺めていたようで

「あ、『店長』……いや、何でもないです……」
「そう……?でもさっきから何かボーッとしてるみたいだったわよ?」
「う……」
図星を付かれ、言葉に詰まる留美
しばらくの沈黙の後、恐る恐る溜め息の原因を話し始めた

「実はその……『店長』がメイアさんが羨ましいな~って思って……」
「羨ましい……?」
「はい……その……『店長達』は魔法使いだから、魔法が使えるじゃないですか……」
「……あぁ~なるほど、つまり留美ちゃんは魔法が使いたいわけね」
「……はい」
留美は少々うつむいて返事をした
留美がこの店で働きだして数ヶ月が経っていたが、その中で留美は数々の魔法を目の当たりにしてきた
実際に魔法のアイテムを扱う店で働いているのだから当たり前の話ではあるのだが、いざ目にすると自分も使ってみたくなるというのは当然と言えば当然である……しかし……

「でも、ワタシってただの人間ですし……無理ですよね……」
そう……留美は何の魔力も持たないただの人間である……
ただちょっと他の人間と違うのは、以前に巻き込まれた事件以来、針のような物に刺されるとぬいぐるみになる体質になってしまったという所である

「せめてこんな『体質』になった代わりに、簡単な魔法でも使えたら良いのになぁ~……」
そう言って宙に手をかざし、その手のひらを眺める留美
それを見ていた「店長」は、楽しそうに留美に呟いた

「あら、魔法なら留美ちゃんにも使える素質はあるわよ?」
「そうですよね~……そう簡単に魔法なんて……え”?
思わぬ答えに耳を疑い、思わず変な声を上げてしまう
そして、慌てて座ってた椅子から跳ね上がるように立ち上がると、慌てて「店長」に詰め寄った

「今なんて!?ワタシも魔法が使えるって……それ本当ですか!?」
「る、留美ちゃん、ちょっと落ち着いて……えぇ、留美ちゃんにも魔法が使えるかもしれないわ。最初はちょっと難しいかもしれないけれど……」
そう言って留美を落ち着かせ椅子に座るように促すと、自分も近くの椅子に座り話し始めた

「以前に、留美ちゃんの体に魔法の針が入った事があったでしょう?それで留美ちゃんはぬいぐるみになる体質になってしまった……」
「はい……いい加減、この体質も何とかしたいんですけど……どうにかならないんですか?」
針を刺される度にぬいぐるみになってしまうなど、不便極まりない体質である
留美もこれには参っているようで、心底うんざりしている様子であった

「うーん……こればかりはまだどうにもならないわね……その魔法の針は、留美ちゃんのことが気にいっちゃったみたいで……留美ちゃんの体から出てこないのよ……」
「そんな……!何とか出せないんですか!?」
「無理にでも引き離す方法も無くはないけれど……でもそうすると、針に含まれてる魔力が暴走する可能性もあるし……留美ちゃんの体に何かあったときは大変だもの……オススメはしないわ」
「う……」
真剣な面持ちの「店長」を前にして、言葉を詰まらせる留美
すると真剣だった「店長」の表情がふっと和らぎ、そのまま話を続けた

「でも針を出すことはできないけれど、その代わり針を利用することはできるわ」
「利用……ですか?」
「そう、留美ちゃんの体の中に眠っている魔法の針……もちろんコレには微量ながら魔力が込められているわ」
「はぁ……」
自分の中の魔法の針と、自分が魔法が使えるようになるのに何の関係があるのか……
留美はパッとしない様子で話しを聞いていた

「魔法使いには、皆それぞれに体の中……この場合、肉体的な意味じゃなくて精神的な物の中って言った方が良いわね……その中に魔法を使うための「魔力」を生成する機関を持っているわ」
「……はい」
いまいちピンとこないが、それでも必死に付いて行こうと必死に「店長」の話を聞き入っている留美
「店長」の方も、留美に解りやすく説明する為に言葉を選んでゆっくりと話を続けた

「魔力を生成する機関には個人差があるけれど、魔法使いの血筋の人たちは、みんな生まれながらにその機能が備わっているわ」
「……つまり魔法使いの血筋でないワタシは、その機関が備わってないから魔法が使えないと……」
留美はガッカリした様子で言葉を返した

「そこで留美ちゃんの針を利用するのよ……つまりね、留美ちゃんの体の中にある魔法の針を、そのまま魔力を生成する機関にしちゃうのよ」
「……!!そんなことが可能なんですか!?」
予想もしなかった「店長」の提案に希望を感じ、パッと顔を輝かせる留美
そして「店長」もそんな様子の留美を見て、楽しそうにまた話を続ける

「えぇ。魔法使いの中には自らの魔力を高めるために、マジックアイテムを触媒にして自らの体内に「魔力の器」になる物を作る人もいるわ……今回はそれを応用するって感じかしら」
「おぉ~……でも元々一般人のワタシが、そんなに簡単に魔法が使えるようになるんでしょうか……?」
「もちろん最初は難しいと思うわ……でも留美ちゃんのイメージ次第では、簡単な魔法くらいなら使えるようになると思うわよ」
「イメージ……ですか?」
「そう、イメージ……」
そういうと、今度は「店長」が立ち上がり、後ろから留美の肩に手をかけた

「……今から、留美ちゃんの中の「針」を留美ちゃんの「魔力機関」に変える術式を施すわ……留美ちゃんは私が魔力を送っている間、体の中で眠っている針をイメージしてみて……」
「え……えぇ!?そんないきなり言われても……」
「大丈夫……私が魔力を送っている間は、ぼんやりと魔力の流れのような物が感じられるはず……留美ちゃんは、その魔力がドコに流れ付くか……恐らく流れ着く先に、その「針」がいるはずよ」
「店長」はそう言うと、留美の体の中にゆっくりと魔力を送り込む……
すると二人の周りが淡い光に包まれて、なんとも神秘的な光景が広がっていく……

「ひゃっ!?な、何……暖かいような、落ち着くような……」
「落ち着いて……リラックスして……そうすれば感じるはずよ、留美ちゃんの体に私の魔力が流れていくのが……」
「え、えぇ~……落ち着いてって言われても……うぅ……」
初めての感覚に、留美の心臓は高まるばかりである
少しでも落ち着くように、一度深呼吸をして何とか集中しようと試みる
すると……

「あ……」
留美の体に、確かに何かが流れていくような感覚が伝わってきた
じんわりと奥へ奥へと流れていくその感覚は、やがて一ヶ所に纏まっていき、一つの形になっていく……
その一ヶ所に意識を集中させると、魔力の流れの中に確かに「針」のような物が感じ取れた
その「針」がじんわりと、留美の体の中になじむように……溶けるように消えていく……
そして……「店長」と留美を覆っていた光が消えていくと、儀式は終了した
留美はやや呆けた感じで、自分の手のひらを見つめていた

「えと……これでワタシにも魔法が……?」
「えぇ、あまり実感はわかないかもしれないけれど、今の儀式で留美ちゃんの中に「魔力機関」が生成されたわ。
最初は慣れが必要だけれども、練習しだいで簡単な魔法くらいなら使えるはずよ」
留美は恐る恐る「店長」に尋ねると、「店長」は優しく答えてくれた
そしてサッと留美の目の間に立つを、今度は留美の手を取り……

「それじゃ早速練習してみましょうか?と言っても、まずはイメージすることが大切なのだけれど……」
「またイメージですか?」
「ふふ……大きな魔法になるとそれ相応の儀式や準備が必要になるけれど、簡単な魔法程度ならイメージで出せるものよ。魔法を使うには、まずどんな形にするかというイメージを明確にしないと成り立たないもの。例えばそうね……」
と、しばらく「店長」は考えこんでいたものの、再び留美の手を取り今度は留美の胸元までその手を持っていく

「留美ちゃんの魔力は、さっきも説明したとおり「針」によって生成されるわ……だから、それによってイメージしやすいもの……糸なんてどうかしら?」
「糸……ですか?や、やってみます!」
そう言いうと、留美は意識を手のひらに集中させ糸が出るように念じてみる
しかし、いくら念じても何の反応もない……

「落ち着いて……念じるんじゃなくて、体の中の魔力の流れを読み取るの……そしてゆっくりと細く細く……糸を形作る感じよ」
「魔力を細く……細く……」
留美は「店長」の言葉を忘れないようにと繰り返す
そして三度深呼吸をして、再び集中し始めた

(意識を体の中の魔力に集中させて……魔力を細く……糸のように……)
すると、体の中に流れる魔力が、留美の手のひらに向かって集中し始める……
そして手のひらに集まった魔力が、小さな穴から出ようとするように少しづつ細くなっていく……

そして……

留美の魔法
カッ!

留美の手のひらから眩い光が発しられると、そこからシュルシュルと音を立てて光輝く針と糸が出現したではないか

「や、やった!やりましたよ『店長』!」
と、留美が喜んだのも束の間、針と糸はポッと音を立てて消えてしまった

『あ、あれ?』
『フフ……集中を切らしちゃダメよ?でも凄いわ!ちょっと後押ししただけで、ここまでしっかり具現化できるなんて」
留美は残念そうな顔をしているが、「店長」はとても嬉しそうである
その様子を見て、留美はちょっとだけ赤くなった

『そ、そうですか?エヘヘ……」
褒められたのが嬉しくなり、つい照れてしまう留美
その時……

『ちょっと……何はしゃいでるのよ?』
裏で仕事をしていたメイアが入ってきた

『あ、メイアちゃん。ウフフ……今ね、留美ちゃんに魔法を教えてた所なの……今さっき魔法で針と糸を具現化させてみせたところよ」
『え……ふ、ふーん……そうなんですか……留美が魔法を……」
メイアは何とも無いように取りつくろうが、その表情からは明らかに動揺が見てとれる

『べ、別に糸や針が具現化できた所で、そんなの簡単というか当たり前だし……そんなんで浮かれるなんておめでたいわね」
『む……何よ~別に良いじゃない!」
『ま、まぁまぁ二人とも……」
二人の件悪なムードを察し、「店長」は何とか二人をなだめようとする
しかしメイアの方は留美に対する嫉妬のせいか、収まりそうにない

「それに糸と針が出せたところで何ができるのよ?その程度の魔法じゃ、魔法使いになろうなんて夢のまた夢ね!」
「うぐぐ……何よ!ちょっと魔法が使えるからって良い気になって!」
「そっちこそ何よ!本当のこと言っただけじゃない!」
「ちょっと、言いすぎよメイアちゃん……留美ちゃんも、落ち付いて……ね?」
必死になだめようとする「店長」であったが、二人の口論にたじたじである……

「くやしかったら、アタシを越えるくらい凄い魔法でも使ってみなさいよ!ま、アンタじゃ一生かかっても無理でしょうけどね~♪」
「うぐぐぐ……」
自分の方が年季のある魔法使いであることの余裕からか、メイアは悠々とした様子で留美を挑発する
しかし、その態度が仇となった……

「メイアさんの……メイアさんのバカー!!
「へ?」
メイアの態度にキレた留美が勢いよく手を掲げると、そこから眩い光が発しられ再び魔法の針と糸が出現する
そして、まっすぐにメイアの体に向かって飛んでいき……そのまま針は、メイアの胸へと突き刺さった!

「痛っ……な、なに……」
チクッとした痛みがして、メイアは慌てて刺された胸を確認した
針はメイアの胸に刺さり、糸を通して留美の手のひらに繋がっていた
すると、今度はメイアの体がムズムズと疼き始める……

「い、イヤッ!キャッ!?」

ポンッ!

そしてメイアの体から音を立てて煙が立ち昇り、メイアの姿はその煙の中に消えてしまった……

「え……何?何が起こったの?」
当の留美はポカンとした様子で、目の前の光景を見詰めていた
そしてしだいに煙が晴れていく……そこには……

一体のぬいぐるみがチョコンと鎮座していた

「もしかして……コレ……」
「あ、あらあら……」
流石の「店長」もこの光景には唖然としている
そう……そのぬいぐるみこそ、メイアの変わり果てた姿であった

「ムゥ……ムグ……?ムグゥ!?(うぅ……一体何……?なっ!?)」
メイアの口は×の字に縫われて喋ることはできない……しかし留美は、メイアの言葉を魔法の糸を通じて聞きとることができた
しばらく留美はその光景をポカンと見ていたが、やがてハッと何かに気付いたような素振りをみせると、次にニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた
そしてメイアと繋がっていた糸を手繰り寄せると、留美の目の前まで吊るし上げた

留美の能力


「ムグッ!?ム、うむぅ~!!(留美!?ワ、ワタシに何したのよ~!!)」
「フッフッフ……メイアさん、今ぬいぐるみになってるんだよ?』
「ム、ムグッ!?……ムグググ!ムゥ~!!(う、うそ!?……ちょっと!元に戻しなさいよ~!!)」
メイアはジタバタと抵抗するも、ぬいぐるみの体では大した力も出ず、プラプラとただ吊るされてるだけであった

「アハハハ!メイアさんかわいい~!これで形成逆転だね!」
「ムグググ……(うぐぐぐ……)」
「さぁ~って、どうしちゃおうかな~?今まで散々酷い目に合わされて来たし~……」
「ム、ムグ……(ちょ、やめ……)」
留美はプニプニとメイアのほっぺをつつく、メイアは何もできずに為すがままだ
しかししばらくそうしてメイアをいじめていると、メイアの体が淡く発光しはじめた

「あれ?何だろ……キャッ!?」

ぼわん!

と、突然音を立てて再びメイアの体が煙に包まれる
そして煙が晴れると……そこには元に戻ったメイアの姿があった

「キュゥ……」
しかしメイアの方は2度も爆発に巻き込まれ、その場で気絶してしまっていた

「あれ?元に戻っちゃった……」
「あらあら……どうやら長時間ぬいぐるみにするには、留美ちゃんの魔力が足りなかったみたいね」
「え~そんな~……」
留美はがっかりした様子で肩を落とす
しかし「店長」は嬉しそうな様子で、落胆している留美を励ました

「がっかりすることはないわ……まだ原理は解らないけれど、初めてであんな魔法を使ってみせたのだもの!これは凄いことよ!」
「店長……」
「それに応用しだいでは、糸の魔法でも色んな事ができるようになるはずよ……それはこれからの留美ちゃんの努力しだいね」
「……はい、ワタシがんばります!」
「ウフフ……その意気よ」
まだまだ覚えたてでおぼつかない魔法ではあるものの、留美は確かに魔法を使ってみせた
それは留美にとって大きな進歩であり、大きな希望となった
今後、留美がどんな成長を遂げるのか……それは「店長」にとっても、とても楽しみな出来ごとになるのであった。

________________________
今回はここまでです
今回も長くなってしまいました……(汗
留美がとうとう魔法を覚えたのですが、今後はこの魔法をいかして留美がどんな活躍をするか考えていきたいと思います
そして加害者側から被害者側に回ったメイアの明日はどっちだ!?w
それでは……今回もお付き合いいただき、ありがとうございました
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まさか留美が魔法を使うとは…w
メイアに球体にされた時と立場が逆転していて萌えましたねw
ぬいぐるみにされてほっぺたをつつかれるメイアが可愛いですね。
今後2人の関係がどう変化していくのか楽しみですw

No title

こんばんは!

「この流れはもしや…」と思っていたら
望み通りの展開で非常に美味しく頂きました!(^o^)

お口を×に縫うのは我々の業界ではやっぱりデフォですね!(笑)
ぬいぐるみのフォルムも可愛くて、留美のこの能力が
どのように変化していくのかも楽しみです
(力が逆流して絡まって合体…とかもあったり?)

No title

いよいよ留美も魔法が使えるようになりましたね。
いろいろな魔法が使えるようになるといいですね。

No title

>akiraさん
留美とメイアの立場逆転は一度描いてみたかったのでw
でも留美は自分からイタズラにぬいぐるみにしようとか考えないと思うので、これからも留美とメイアの関係は変わらないんじゃないですかねw
変わるとしたら、今後の展開しだいになると思います。

>shamさん
ぬいぐるみ化は、自分も特に好きなので今後もたまに入れていきたいですw
逆流して、ぬいぐるみ同士で合体っていうシチュは面白いですね、もし機械があればいつか描いてみたいですw
留美の成長も含めて、この能力はじっくり考えていきたいです

>ルパンガンバーさん
留美は、まだまだ使える魔力も魔法の種類も少ないですからね
そこは工夫して、今の魔法を発展させるって展開を考えています
後は、簡単な魔法くらいは使えるようにさせてあげたいですねw

ふおぉぉっ、ぬい化魔法がレギュラー化(?)したぁぁぁっ!!
おいしくいただきました、ありがとうございます^q^*
これはますます今後の展開が楽しみです!

No title

>梗霧さん
一応、ぬいぐるみ化の魔法は使えるようになりましたが……マンネリにならないように、たまに出す程度に留めたいと思います。
……でも自分が好きなジャンルなので、ちょくちょく出していきたいですけどねw
プロフィール

ケンガー

Author:ケンガー
管理人:ケンガー(見学者)

人が別の何かに変えられるというシチュエーションが好きな落書き描き。まだまだ至らない所が多すぎるのが難点……よろしくお願いします。

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